113ペロー童話集
- 作者: シャルルペロー,マリ林,Charles Perrault,天沢退二郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/10/16
- メディア: 単行本
- クリック: 11回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
「眠りの森の美女」
坂田靖子『ビースト・テイルズ』に、眠り姫の「その後」が題材にとられていました。ペローの人食い妃は、恐ろしい最後を迎えますが、坂田靖子さんの書いたオーガーは、無骨な愛嬌があってとても可愛かったのでした。
「赤頭巾ちゃん」
赤頭巾ちゃんが食べられておしまいのバージョンです。
「青ひげ」
子どもの頃、あけてはいけない部屋の内容がとても生々しく恐ろしかったです。でも若い女の血まみれの死体が折り重なっている情景に、あるエロスを感じてとても惹かれました。私の記憶では、この部屋は拷問部屋なのですが…いったいどの本を読んだんだろう。このシーンが強烈で、その後の助かる方法を、全く覚えていないのですが、お兄さんが助けてくれるのではなくて、自分の知恵で切り抜けていたような気がします。
「長靴をはいた猫」
ネコ横暴。
「妖精たち」
優しい娘の口からは、薔薇とダイヤモンドが、意地悪な姉娘の口からは、ヒキガエルと蛇が飛び出す話。どちらもけっこう迷惑だと思います。
「サンドリヨン または小さなガラスの靴」
サンドリヨンの父親の、女の趣味が分からない。顔か? 顔なのか!?
「巻き毛のリケ」
愛した人に知恵を与えられる、醜いが賢い王子と、愛した人に美しさを与えられる、美しいが愚かな姫の愛の物語。訳者の指摘するとおり、醜いが賢い妹姫が報われないのは理不尽だと思います。坂田靖子さんにフォローしてもらいたいですね。
「おやゆび小僧」
前半は、ヘンゼルとグレーテル。後半は、自分たちの身代わりに、鬼の子を鬼に殺させる話。
「ロバの皮」
「鉢かつぎ姫」と同じ話。父親が娘に求婚するという、モラルハザードな始まりに度肝を抜かれます。
「おろかな願い」
ソーセージが奥さんの顔についてしまって、三つの願いが元の木阿弥になる話。
訳者が天沢退二郎なので、あとがきでものすごい細かい解説をしています。執拗と思えるほどの引用と、細をうがった注釈に、思わずたじたじとなってしまう。恥ずかしながら、ペロー童話と言われるものが、たった10ほどだと言うことを始めて知りました。17世紀末に記されたそうですが、とても現代的と感じる箇所もあり、時代によって人の考え方は、私が思っているほど劇的に変化したわけではないのかなあと思います。社会制度やコンセンサスが変わってきている、ということかも。この時代から「女は強くなった」と言われ続けているわけですね。