一瞬の風になれ 第二部 ヨウイ

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

 守屋センパイ、ついていきまっす!
 キャラクター小説としてもきっちりと押さえるところは押さえてある中でも、守屋先輩と谷口さんはお気に入りです。
 主人公も可愛くてなりません。主人公の新二の一人称で物語は進むのですが、常に彼が周りからどう見えているか、という「もう一つの視点」で読んでいました。彼の一人称からは、明るくて、社交的で、喜怒哀楽が激しく素直で、丈夫な身体と強い心を持っている懐の深い少年の像が鮮やかに浮かんできます。自分で言ってる記録や順位を見れば、彼が才能を持った選手だということが、嫌みじゃなく読者に伝わるようになっています。そういう技法をさりげなく使っている著者をすごいと思いました。
 きっと、新二が、天才でありながらやる気のない連に悔しい思いをしていたように、才能がありながら自信を持たない新二を、もどかしい思いで見ていた人は多かっただろうなあ。などと、新二君からちょっと離れたところで、彼のじたばたを見ると、微笑ましいのでした。