第十二話「眇の魚」

脚本 桑畑絹子
絵コンテ 桜井弘明
演出 そ〜とめこういちろう
原作 『蟲師』3巻「眇の魚(すがめのうお)」p183〜
DVD 其之伍

蟲師 (3)  (アフタヌーンKC)

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蟲師 其ノ伍 [DVD]

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 子ギンコの声の人(沢城みゆき)上手いなあ。ヨキの声と子ギンコの声がちゃんと別人の声に聞こえます。それだけでなく、子ギンコの声は将来のギンコの喋り方につながっていくような雰囲気もあります。
 「畏れや 怒りに 目を眩まされるな みな ただそれぞれが あるようにあるだけ」という『蟲師』を象徴するこの台詞は、他の話でも何度も聞いたような気がしています。ところが、土井美加さんの声でぬいのこの台詞が流れるのは、この話だけなんですよね。「千里眼」の周にギンコの子ども時代が見えなかったということは、ギンコは過去を思い出せないのではなく、本当に全く「失って」しまっているということだから…。
 絵コンテの台詞は、試しに原作と照らし合わせてみたら、全く改変がありませんでした。アニメオンエア版では、気がついた限りでは2カ所。「この山の先にはね、もう、人の住む里はひとつっきりだ…私の故郷…」が「この山の先には私の故郷がある」に。それから、ギンコがトコヤミから抜け出してから、山をさまようところで「外界らしき所に出たが、夜はいっこうに明けなかった」がすっぱりなくなっています。尺の問題なのかな。
 ちなみにDVD版とオンエア版では月の色が違いました。オンエア版では妙に鮮やかな黄色で、DVD版では白っぽい現実的な色になっています。「眼福眼禍」で、ギンコが「偽物じみた」と言っているので、黄色っぽいままでも良かったような気もしますが。(追記:原作の「眼福眼禍」を読み返したら、「真っ白い偽物じみたその月が…」という台詞でした。納得しました。にしても、監督……!!)
 ヨキとぬいが食べているのがキノコ鍋であったことが、絵コンテを読んで気づいたことかな(笑)。ぬいの家でギンコが気がつくシーンの画面の隅で揺れるぬいの髪先の動きが、正座から立ち上がり、後ろの台へ向かうという全体の動きの一部であることまで書かれています。あのシーンでは、ぬいは眠っているヨキを見ていて、目覚めたときに立ち上がり、薬を取ってすり鉢で煎じ、竹の湯飲みに入れてヨキに出すという一連の動きをしているわけです。すべての動きが「必然」であり、ぬいの優しさを表しているんですねー。杖をつきながら歩くヨキの動きが「モコモコ」という擬音なのが可愛いvv。

 さて、私はこれから三日間バカをやるかどうか思案中。学生時代なら間違いなくやったけど…仕事が。