孤島のドラゴン

孤島のドラゴン (児童図書館・文学の部屋)

孤島のドラゴン (児童図書館・文学の部屋)

 夏休みに叔母さんの所有する島に遊びに来たハナ、ザカリー、サラ・エミリーは、「退屈したらドレイクの丘を調べてみなさい」という手紙を読んで、丘に探検に出かける。そこの洞窟には、三ツ首の黄金竜ファフニエルが住んでいた。三ツ首の中で一番最初に卵の殻を割った「一番覚醒」である緑色の目は語り出す。大昔の中国の少女の物語を…。
 三きょうだいは、洞窟を訪ねるたびに交代に目を覚ますファフニエルたちの昔話を聞きます。話中話である昔語りも面白いですし、竜と会っていない間に、叔母さんと竜の関わりを探っていく過程もわくわくしました。なぞめいた手紙や、同封されていた鍵で開く古ぼけた塔、からくり細工の小箱など、子どもにはたまらないアイテムがたっぷりで、一気に読めてしまいます。
 ファフニエルの昔話が、「自分勝手」「所有欲」「自信のなさ」というきょうだいそれぞれの欠点を気づかせるようになっています。ちょっとあからさま過ぎるところもありますが、子どもにこれは吉と出るか凶と出るか…私はこれくらいわかりやすくてもいいと思いました。
 訳に体言止めが多いのが玉に瑕でした。