084魔女ジェニファとわたし

魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫)

魔女ジェニファとわたし (岩波少年文庫)

 引っ越してきたばかりのエリザベスは、学校の女の子集団にうまくとけ込めず、一人で登校している。その通学路でハロウィーンに、魔女を名乗るエキセントリックな雰囲気のジェニファと知り合い、魔女見習いとして彼女に弟子入りする。
 少女たちの真剣な「ごっこ遊び」の臨場感にわくわくする。飛ぶ薬の材料を集めるところが特に好きだ。
 友達同士の間に上下関係があるところ(魔女のジェニファと魔女見習いのエリザベス)がリアリティがある。でも、素直なエリザベスと、正反対のジェニファは、やがてお互いの足りないところを補い合いう関係にそれぞれが成長していく。このあたりをいろいろな出来事を組み合わせながら描写していくところは、本当にうまい。

 最初、カニグズバーグは入り込みにくくて苦手…と思っていたけれど、読み込んでいけばいくほど10才くらいから思春期の少年少女の普遍的な心の動きが見事に映し出されていて、すごい作家だと思うようになった。