ゲゲゲの女房「おかあちゃんの家出」

 「見えんけど、おる」。妖怪も、死者も、人の思いも。
 お母ちゃんの家出が週の前半で終わっちゃった、と思っていたら、後半の展開で言葉を失いました。普通のドラマにおける「人の死」には、意味があるんだな、とぼんやり思いました。現実には(朝の連続ドラマではありますが、ノンフィクションをもとにしているものなので)、死は、こんなふうに唐突に、意味もなく、あっけなくおとずれて、残った人を問答無用で置き去りにする。
 今までに、心優しい弟、貴司との絆を丁寧に描いてきただけに、突然の訃報に呆然となりました。貴司が喜子に買ってあげた電話が、あざといまでに効果的に使われてましたね…。

 しげるの「おまえは仕事の話はせんでええ」という言葉の裏には、家にまでは仕事を持ち込みたくないという気持ちが隠されている…というのは分かるのですが、あの態度はないよねー。布美枝さんが家出するのも無理はないです。しげるが慌てふためく様子は、直接には出てこずに、イカルやイトツの言葉から布美枝さんに伝えられましたが、いつも泰然自若としているしげるらしい演出だなーと思いました。
 藍子ちゃんは、お姉ちゃんだなあ。お母ちゃんが出て言った後で、炊事して、妹を励まして、きっと、布美枝さんが帰ってくるまでに何度も何度も玄関を見に行ってたんでしょう。しげるに手紙を渡し直したりして、しっかり者すぎるし、いじらしくてたまりません。
 しげるがばったり倒れたおかげで、布美枝さんはしげるの世話を焼けて嬉しそう。枕元でゆっくり話をして、お粥を食べさせてあげて、夫婦の危機も無事回避。貴司の葬儀から帰ってきた布美枝の為に、イトツが天婦羅を揚げるシーンも良かったですが、食事のシーンはとても大切にされていますね。
 そして、浦木さんが初めて役に! 版権管理の話は先見の明ありですが、あぶく銭を稼ごうという魂胆では、成功しなさそうだ…、それでこそイタチ。
 すがちゃんも大活躍でした。アシスタントの指揮を取ったことと、点描の腕前をしげるに褒められていましたが、そのてんてん、後世にも大絶賛されるからねー!

 いまさらですが、次週予告のネタばれ、もう少し配慮してくれればいいのにと思います。中森さんや、美智子さんの再登場なんかは、本編で見てびっくりしたかったなあ。来週は目目連!