放課後のカリスマ１、２

　
　1，2巻同時発行なんですね。よかった、こんなに面白い漫画の1巻を見逃していたんじゃなくて。
　科学の発達した近未来、歴史上の偉人たちのクローンが作られた。彼らはオリジナルの業績を継ぐべく学園に集められ、学生生活を送っている、という設定です。そこに転校してきた唯一クローンではない少年が主人公。オリジナルの生き方を強いられるクローンの少年少女たちの葛藤も見所ですが、ナポレオンやエリザベス1世など君主のクローンまで作られているなど、この学園成立にもそれなりの裏がありそうで、引き込まれます。「管理された学園」の王道として、彼らが「外」に出る際には相応の犠牲が必要となりそうなのですが、それらを管理している大人たちにもいろいろな思惑がありそうです。
　頼もしい兄貴分のナポレオン、飄々とした一休宗純、おきゃんなエリザベス1世、皮肉屋のフロイト、優しくて巨乳（←大事）のナイチンゲールなど、キャラクターも個性があって魅力的です。特に私のお気に入りはフロイトとヒトラーです。ヒトラーが学園で孤立していることが分かるシーンは、読んでいてドキドキしました。クローンではない主人公に、同じ「はみ出しもの」として友情を結ぶ寂しげな彼の存在は、裏があろうとなかろうとこの作品の核になると思うのですが…。できれば今の緊張感を保ったままきちんと続いて欲しいと願います。