蟲師9

蟲師(9) (アフタヌーンKC)

 今回は、とみに割り切れないお話が多かったように思います。「水碧む」なんて、ギンコが話をしなければ、それなり幸せが続いていたのじゃないか…と思わなくもありません。「残り紅」もそうですよね。一度幸せに閉じておいて、蟲の世界から逃れられないのは、少し怖い。その割り切れなさ、怖さこそが「蟲師」の世界観なのだと思います。「草の茵」は初読時は、割り切れなくて胸苦しい話だと思いましたが、時間をおいて読み返すと、きれいに昇華されたお話に思えました。その時々のこちらの状態によって、どのお話も様々に読み方が変わってくるのでしょう。いつでも気まぐれに読み返せるように、あまり思い入れをせずに、大切にしたいと思います。