いのちのパレード

いのちのパレード
「観光旅行」「スペインの苔」「蝶遣いと春、そして夏」「橋」「蛇と虹」「夕飯は七時」「隙間」「当籤者」「かたつむり注意報」「あなたの善良なる教え子より」「エンドマークまでご一緒に」「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」「SUGOROKU」「いのちのパレード」「夜想曲
 スケッチみたいな超短編集。大風呂敷を上手くたためない傾向のある恩田さんにはこういう形式が合ってるのかも。この人の文章のイメージ喚起力は独特のものがあるので、できれば読み続けたいのだけれど、長編の投げっぱなし気質がどうにも馬が合わないのが困りものだから。プロットは弱いけど、石の手がにょきにょき生えてくる奇妙な村の「観光旅行」、"蝶使い"という職業が過ごす1年の風景が美しい「蝶使いと春、そして夏」、王蟲の行進を彷彿とさせる壮大な「かたつむり注意報」がおもしろかった。「かたつむり注意報」は、どこかで同じような話を読んだのだけど…翻訳物のSFだったかな、ドリトル先生じゃないことは確かだ。