百まいのドレス

百まいのドレス

百まいのドレス

 すぐに「教室の祭り」を思い出した。小学校の教室で、ふとしたことから始まるからかいの輪、違和感を感じつつとめられない後ろめたさ。マデラインの迷いや悩みは、現代の子どもに十分通用すると思います。重いテーマをあつかいながら、暗く厳しい雰囲気はなく、穏やかに淡々と語られる話が、自分の心の中にゆっくりと沈んでいく感じ。百まいのドレスの美しさが印象的でした。
 これが、50年前(!)に岩波子どもの本シリーズとして出版された「百まいのきもの」の改訳新装版とはね。しかも邦訳が1954年ということは、原作はそれより前だったわけで。
 訳者の石井桃子さんは、今年の3月で御歳100歳(!)になられるそうです。ミルンの自伝『今からでは遅すぎる』(2003)を訳したのが90代ってこと…言葉もないです。