087きゅうりの王さまやっつけろ
- 作者: クリスティーネ・ネストリンガー,ベルナー・マウラー,Christine N'ostling,若林ひとみ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2001/06/18
- メディア: 単行本
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「きゅうりの王さま」は、いじめっ子や厳格な先生の比喩だと思ってたら、本当にきゅうり(解説ではピクルスとされている)の王さまだった。SF?
挿絵を見ている限りきゅうりというより太ったゴーヤーのような感じ。こいつが地下室から出てくるんですね。
ホーゲルマン家の次男、12歳のボルフガングは、祖父・父・母・姉(15歳)、弟(9歳)の6人家族。復活祭に台所に現れたクリ・オミの王を名乗る王冠をかぶったきゅうりが現れてから、家はすっかり変になってしまった。
わがままで偉そうなきゅうりの王さまと、お父さんは、すっかり意気投合してお父さんの部屋でこそこそとしている。弟のニキは二人に抱き込まれてきゅうりの王さまをかわいがってしまっている。お母さんとおじいちゃんはそんなふたりを苦々しく思い、お姉ちゃんは彼氏に振られて落ち込んでしまった。ボクは宿題を忘れた罰にお父さんのサインがいるのだけれど、叱られるのが怖くてどうしても言い出せない…。
今度は横暴なお父さんの登場です。ところが前作の「ぼくがぼくであること」とちがって、こちらはドタバタ劇のようで非常にユーモアがあります。ドイツ人と日本人はくそ真面目なところが似てるっ言われてるのにね。
ボルフガングとお姉さんのマルチーナが、地下室のクミ・オリたちと仲良くなるところが楽しい。ヨーロッパの地下室には、いろんなものがいるんですね(笑)。王さまに同情的だったニキを引き込むところもスリリングでした。
この弟のニキがとても可愛らしいです。好奇心旺盛で天然で無邪気。実は深刻な家族の危機を軽妙な雰囲気で救っています。
彼が最後にとった勇気ある行動も頼もしい。
吹き出しのある挿絵もちょっと不気味だけど味があります。