鎖衣カドルト

鎖衣カドルト (ウィングス・コミックス)

鎖衣カドルト (ウィングス・コミックス)

 す、すご…。「世界」を丸ごと作ってあって、そこで文化衝突が起きるような話が好きなのだ。「神」をめぐる相剋にもとても惹かれる。わかりあえなかった鎖衣と神巫。でも、鎖衣は神巫の託宣のために奔走し、神巫は鎖衣の鎖を握っておのれの神の元へ進んでいった。わかりあえなくても、それでも。
 ひとつの謎が残った。水の国の難民達は、どこへ行ったのだろう。なぜ神巫は彼らも連れて行ったのだろう。こうやって、謎を抱いて書棚に眠っている作品がいくつもある。私はすぐに忘れてしまうけど、いつかそのうち、再読する機会が巡ってくるかもしれない。その時には、分るようになっているかもしれないし、やっぱり謎に思うのかもしれない。その楽しみのために…捨てられないのだ、ああ。