桜庭一樹読書日記

 18pで桜庭一樹が女性ということを知って素で驚く。だって私、桜庭一樹は、なんでか、少女の心を持った男の人、と思ってたんだよ…。この読書日記からは、桜庭一樹が、人の書いた作品に対してとても謙虚で、自分の書く作品に対してとても誠実だということが伝わってくる。生真面目さとユーモアがうまく同居しているところが、webに掲載されてたことといい、三浦しをんのエッセイを思い出す。他にも作家と編集者の仕事の雰囲気が伺えるのが興味深かった。桜庭一樹さんはいい編集者に恵まれたみたいだ。すごく楽しそーだし、いっぱい刺激をもらってるようだし。
 本文は申し分なくおもしろくて、既刊本を読もう!と決心したのだけど、カバー袖の引用部分にちょっと引っかかった。「歌って通りすぎ」のとこだけ抜き出すと、桜庭一樹が傑作に対して真剣じゃないみたいに誤解されそうな(しないかな、私はしたよ)。本文では、傑作の前を鼻歌交じりで歌って通りすぎていることに対して「ばか。俺のばか。いつもの書店の棚にも、それらはまだ埋もれているのかもしれない、と思うと、たまらない気持ちになる。出合(ママ)わないって、おそろしいことだ。」と記述しているのですよ。
読みたくなった本メモ(いつも日本女性作家の作品ばっか読んでるからなー守備範囲外のジャンルを意識的に選択する桜庭一樹の侠気に感化されそう)
夢の通い路、一人の男が飛行機から飛び降りる、ほとんど記憶のない女、人魚とビスケット、眠れる人の島、庭に孔雀裏には死体、黒いカクテル、そうは言っても飛ぶのはやさしい、海の上の少女、愛についてのデッサン、ハルカエイティ、コルセット、薔薇密室、小さな本の数奇な運命、琥珀捕り、肩胛骨は翼のなごり、星を数えて