『蟲師』二十景 漆原友紀画集〜蟲襖

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 大きすぎるとか、どこに置けばいいんだとか、普通の画集でよかったのにとか、いろいろと思うところはあったのですが、縮尺や、ページの<のど>を気にせずに絵を愉しめる贅沢の前には沈黙しかありませんでした。一点一点にタイトルがあれば感想描きやすいんだけど…ないのでブックレットの始めから適当に。

・ほおずきランプをともして(2点目)
 この鬼灯型洋燈ステキだー。中はどうなってるのでしょう。飛騨で買った蝋燭立ては持ち手をどの方向に向けても、蝋燭を立てる部分が水平になるようになってるんだけど、この中もそういう仕掛けが施されているんだろうか。
太公望(7点目)
 化野先生といおとギンコで釣りってどんなシチュエーション。化野先生は、ビーチパラソル(違)に編み笠で万全の日焼け対策をとった上で、昼寝中(引いてます)。ギンコといおは大漁のようです。化野先生は「見えない」人なんですよね…? いおは「見える人」なのかなあ。終わったあとに、化野先生に「ぼうずだな」と冷やかされて、沈黙するギンコといお。いおの「その後」が見られてとても嬉しい一枚。
雪見酒(10点目)
 構図がおもしろい。ギンコが火燵に足を入れているか、猛烈に気になります。この微妙な距離感がたまらんのよ。
・夕暮れ散歩(11点目)
 魚みたいな、長虫みたいなひょろひょろした動きまで感じられる火の玉がとてもきれい。「連綴」にアニメで再現された蟲の動きが漆原さんのイメージ通りだったことが度々あったと書かれていましたが、動いていないはずの漆原さんの原画に動きがあるからこそ、そういうこともあるんでしょうね。こういう照明器具があったら便利でいいなあ。あ、ほおずきランプのからくりも、蟲か!
・沼のほとり(13点目)
 光と闇の調和が素晴らしい。闇に浮かぶ蛍のような蟲が、雪のようにも、マリンスノーのようにも見える。余白のないかっちりした構図で、次の水中からのアングルの絵とあわせてとても好き。見てて飽きない。
・川底より(15点目)
 こんな構図よく思いつくよなあ。水の中は何が潜んでいるか分からなくて、怖い、怖いけど美しい。クリアケース持ってます。
・桜の木の下には(18点目)
 桜の赤みが強いのは、この桜の尋常のなさを表していて、これはこれでいいと思います。桜の花にギンコが埋もれて、本編の「花惑い」に出てきた妖しの桜の生命力に呑まれているかのようです。かなり長い間、壁紙に使っていました。
・蔓の雨(20点目)
 若冲にこんな絵があったような。虫が喰ったり枯れたりしている葉っぱの表情がいい。11・13・15・18・20は、全て壁紙にして欲しいです。そして季節ごとに入れ替えるのさ。