隣之怪木守り

隣之怪 木守り (幽BOOKS)

隣之怪 木守り (幽BOOKS)

 微笑ましさと怖さが混在した「はじめてのおつかい」が良かった。新耳コンビの作品が、とても読みやすい原因のひとつに、人名を具体的な名前で書いてある事があげられると思う。他の実話怪談では、(仮名)とか略称で書かれてあって、それが「これは本当にあった話だから、実在の人に迷惑かけちゃいけないから名前を伏せているんですよ」と「実話であること」を強調するわざとらしさを感じさせる。演出が過剰なのだ。もちろん、新耳コンビだって、山っ気はあるのだか、演出を読者に感じさせない書き方を心得ているのだと思う。