しゃべれどもしゃべれども

 ここでこういう台詞を言えば! とかここで人物がこうすれば! もっと粋だったり可笑しかったりするんじゃないかとやきもきしながら見てました。こう…締まりというかメリハリに欠けてた。人にうまく気持ちを伝えられない十川のもどかしさや、村林少年の通し抜きたい意地や、好きなのに理想に届かない外山の悔しさなんかが、全体にぼやけていて、印象が薄い。
 ただ、最初は本当にセコでどうなるかと思った国分太一の「火焔太鼓」が、面白かったのはお見事! 主人公が壁をひとつ乗り越えたカタルシスがあった。発表会での上方「まんじゅうこわい」も、村林少年が本当にこの話が好きというのが、すごく伝わってきたし。こういう、とてもいい部分もあったので、惜しいと思うんだよなあ。
 あと、日本語版字幕付だったのは失敗。最初は、登場人物が字幕を棒読みしているみたいに思えて、映画に集中できなかった。特に、「笑い」は間やタイミングが命なのに、字幕でこれから何しゃべるのか丸わかりっていうのは…台詞を言ったあとに字幕を出せばよかったのでは。