木乃伊の恋/穴の牙

 大阪九条のシネ・ヌーヴォで上映中の「鈴木清順監督レトロスペクティヴ」に行ってきました。鈴木清順という映画監督は知らなかったのですが、内田百間の「サラサーテの盤」を下敷きにした映画「ツィゴイネルワイゼン」は、一度見たいと思っていました。今回、残念ながら「ツィゴイネルワイゼン」は見られなかったのですが、映画好きの友人が誘ってくれたので、上記2本を見に連れて行ってもらったのでした。
 2本とも、映画ではなく、「恐怖劇場アンバランス」と「日曜恐怖シリーズ」というテレビ番組です。
 結論からいうと、大爆笑のヘンテコリンな作品でした。こういうの好きだなあ。
 2作品とも、性への執着から生と死の境界を越えた存在が、主人公を苦しめるというホラーなのですが、筋にはあんまり関係ない小ネタが、随所に仕込まれていて、笑いのツボをぐいぐい押してきます。特に「穴の牙」は、舞台的というか、なぜここに黒子が!とか、なぜ二人で食事をしているのに二人とも画面を向いてるの?とか、テレビドラマにはあり得ない映像が、ばんばん出てきます。主人公の刑事が道を歩いていると、魚を丸ごと刺した棒が道ばたに立ってたりして、もう訳が分からない。(鰯の頭も信心から、の隠喩か…?)。
 友人が見た「殺しの烙印」も、そうとう奇天烈だったそうで、プロの殺し屋の趣味はご飯の匂いを嗅ぐこと、とかあらすじ聞いているだけで、お腹がよじれるくらい笑いました。
 「ツィゴイネルワイゼン」劇場で見たかったなあ。