気になる部分

気になる部分 (白水uブックス)

気になる部分 (白水uブックス)

 三浦しをんが激賞していた「ねにもつタイプ」ではまった。エッセイというより、ほとんどショート・ショートのような内容のシュールさがたまらない。周囲の人には見えているらしい「よのなかのしくみ」が自分には見えてないのでは、という不安感をユーモラスに語っている部分がとても好きだ。
 事実と創作の境界上にゆらゆらと立っているような身辺雑記には、2種類ある。いかにも事実らしいけど、実は作ってるのかも、と思うものと、ありえないでしょこんなこと、でももしかすると…と思うものだ。三浦しをんのエッセイは前者、岸本佐知子のエッセイは後者である。世の中をちゃんと洞察できる人が読めば、真贋の区別は明らかなのかもしれないけれど、私は「気がつかない人」なので、「国際きのこ会館」は本当にあるのかもしれないと考えている。
 白水uブックスのカバー袖に書かれた著者紹介の最後の一文が秀逸。