第二十話「筆の海」

脚本 桑畑絹子
絵コンテ 長濱博史
演出 長濱博史 そ〜とめこういちろう
原作 『蟲師』2巻「筆の海(ふでのうみ)」p51〜

蟲師 (2)  アフタヌーンKC (284)

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蟲師 其ノ漆 [DVD]

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 気合いの長濱監督絵コンテです。監督の絵コンテだけ、印刷の質が違うのがまず不思議です。他のは普通にコピーしたように見えるのに、監督のは線がざらついていて、一度スキャナで取り込んだものを再出力したらこんな感じ? 気合いは入っていますが、手を抜くところは抜いていて、その辺はほとんど漫画だった「緑の座」とは違います。人物もたまに主役クラスでも○に縦横の線だけで描かれてますから。
 台詞は、原作と絵コンテとの異同は1カ所のみ。原作「話に聞いた蟲を見たい」→絵コンテ「話に聞いた蟲を見てみたい」。これ、原作の方がいいですよね。「見てみたい」だとちょっと物見遊山な使われかたもしますが、「見たい」には主体的な強い意志が感じられます。オンエア版では「見たい」になっていました。
 原作で印象的だった場面が、1カ所変更されていました。部屋中に広げられた巻物の上に淡幽が横たわっている場面から、淡幽がいなくなっています。これは、特に意味があるような感じがしました。漆原さんの淡泊な絵で見るとそうでもありませんが、アニメにして妙に色っぽくなるのを避けたのでしょうか。
 さて、長濱監督の絵コンテで楽しみなのが、時間設定が細かいこと。絵コンテのおかげで、淡幽が現在27,8歳であること、ギンコと出会ったのが15,6歳だということが分かります。ギンコはあまり今と変わらないなあ、現在30代前半のイメージなので、20歳くらい希望。他にも自分の役割を知らされたのが6歳、狩房家別邸へ移り住んだのが10歳と設定されています。そういう育てられかたをしたため、とても落ち着いていて聡明な少女だったことが伺えます。ご両親とか、健在なのかな…。全身墨の色だったのが三代で右足だけになったのだから、なんとか淡幽の代で終わればいいなあと思っています。もちろん、それ以降も写しを取ったり、屠る方法を探したり、完全に解放されるわけではないんでしょうけれども。