第十八話「山抱く衣」

脚本 伊丹あき
絵コンテ 山崎 理
演出 山崎 理
原作 『蟲師』5巻「山抱く衣(やまだくころも)」p105〜

蟲師 (5)  (アフタヌーンKC)

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蟲師 其ノ漆 [DVD]

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 おー、この絵コンテさんの描くギンコもけっこうオリジナルだなあ。妙に色っぽいというか…ジブリっぽい? 見返しに脈絡なく道ばたで一服するギンコの絵が大きく書かれてます、○人誌みたい。他の特徴は、季節や時間を細かく書き込んであるということ。作品に直接反映はしなくても、そういう空気や温度を想像しながら書いてあるんだなーと感心しました。
 全体的に、たくさんのコマを書きすぎて、尺が足らなくなったみたいです。CMのところで、「ゲッ!3分半もオーバーしてる」とありまして、長濱監督に「スミマセン! カッティング時調整させてください!」とつっこまれてます(笑)。原作の台詞も多いようなんですが。
 原作との異同が何箇所か。原作「以前お目にかけた先生の絵は…」が「以前拝見した先生の絵は」に訂正されています。これは、原作の用法がちょっと変なので直したんでしょうね。原作にはギンコの話を聞いて塊が「はあ、それは…気の毒に」という台詞がありますが、絵コンテには描かれていません。オンエア版でも復活せず。
 オンエア版では、絵コンテからさらに5カ所台詞が削られています。
 ・冒頭ギンコと亭主の会話「炊事?」「まあ、そう見えるって話だが」
 ・羽織を質入れする際「もう少し…これはいずれ値の上がるものだぜ!」
 ・十年ぶりに帰郷したときの叔母との会話「その報せだって行ったろう…?」(これは、絵コンテの時点で書き忘れられています。絵コンテさんは訂正したけれど、復活しなかった模様)
 ・ギンコのつぶやき「笑ったな」(原作では書き言葉) 
 ・塊が羽織について思い出す台詞「これは…山そのものだった」
 さらに、シーンごとカットされたのが、サブタイトルが出る前、塊の回想が始まる前の現在の姿と、弟子が塊のもとを去る時の一礼です。
 できればDVD版でどうなっているのか確かめたいところですが、あいにく職場の後輩に貸してしまいました。

 さて、時間の経過は、塊が家を出てから7年後に地滑りがあり、里は壊滅、父親が亡くなります。その後、姉が娘を生んで亡くなります。その3年後に塊が帰郷。なので、当時トヨは2、3歳。そして、塊が村人にようやく受入れられていったのが、「もう…五つになるというのに、赤子のままだ」という台詞から、帰郷してから、2、3年後ということが分かります。
 これも、原作を読んだときはそうでもなかったのに、アニメでとてもいいと思った作品。構成が好きなんですよね。