第十七話「虚繭取り」

脚本 山田由香
絵コンテ 今泉賢一
演出 今泉賢一
原作 『蟲師』4巻「虚繭取り(うろまゆとり)」p3〜
DVD 其之陸

蟲師 (4)  (アフタヌーンKC)

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蟲師 其ノ陸 [DVD]

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 絵コンテは、線が太いのと、原作からの切り貼りが多いのが特徴かな。あと、コマが前後してて、読みにくい…番号振ってあるから、制作するときには不都合はないんだろうけど。
 緒(いと)がいなくなったのは、二人がじいさまのところに行ってほとんどすぐだったんですね。私は2、3年してから…と思っていたのですが、原作をよく読むと「十になったら どちらか一人 貰いに来るぞ」で山に入って、行方不明の緒(いと)が現れたとき「齢十程にして言葉を得ず」なので、三人で山で暮らしたのは、長くて半年ほどのようです。ギンコが訪れたのは、「あれから五年」で綺(あや)は十五歳。飲み込んで、あきらめるにはまだ若すぎますよね。寂しくないように二人で行ったのに、それが仇になって姉をなくしてしまった、自責の念に耐えるには何かをせずにはいられなかったのでしょう。でも、じいさまがいつ亡くなったのかは分かりませんが、たった一人で暮らしているわけです。一人っきりで、いなくなった人を思い続け、はかない望みをかけ続けるのがいいのか悪いのか…ギンコはこれ以上放っておけないと判断したようですが、あきらめるという選択もあまりに重い、と思いました。
 ところで、とても気になっているのですが、サブタイトルのすぐあとに見える合掌造りの建物、ずいぶん奥行きがないような…原作でも正面しか描かれていなくて、どういう角度で見るとあんな感じに見えるのか。DVD版でも同じなので、別に間違いというわけではなさそうです。
 綺(あや)が大虚(おおうろ)で緒(いと)を回想するシーンですが、最後に見た緒(あや)の姿と布をめくった瞬間は原作にもありますが、二人のつないだ手はアニメオリジナルでした。二人の絆と、それが断ち切られた取り返しのつかなさを改めて突きつけられたようで、うまい、と思いました。
 ところで、緒(いと)がいなくなるシーンを「SWのヨーダ死去のシーン風」って書き加えたのは誰かな〜(笑)。