天と地の守り人 第一部

天と地の守り人〈第1部〉 (偕成社ワンダーランド)

天と地の守り人〈第1部〉 (偕成社ワンダーランド)

 うわあ、タンダ〜〜!!
 前作を読み返していないのに、読んでいくとちゃんとそれぞれの国柄や人物像が思い出されてくるのが素晴らしい。死んだとされ行方不明になったチャグムを探すバルサ、ナユグの異変に気づいたものの、タルシュ侵攻の最前線に立つ雑兵として召集されてしまったタンダ、滅亡の道へひた走る新ヨゴ皇国にあって、血塗られた道を歩む星読博士シュガ。このシリーズに登場する人物は、どんな端役であっても自分の人生を懸命に生きている様が描かれていて、現実には存在しない世界をとても身近で存在感のあるものにしています。誰もが言及する「守り人」シリーズの魅力は健在でした!
 もうもう、タンダとバルサはどうなっちゃうの、と身を揉んでもだえました。っていうか、あんたたちいつのまに…鈍感な私が見落としていただけ? はっきりとは書いていないところがまたいい…!
 戦いに身を置くことでしか気を紛らわすすべがない、しかし着実に近づく老いにも向き合わなくてはならないバルサ…以前、小野不由美さんが講演会で、小説には未だに女性を描きだす方法論がない、と言っていましたが、バルサはその一つの回答なんじゃないでしょうか。美しくもなく、無敵でもなく、透徹しているわけでもなく、泥臭い人間であるバルサが、とても自然な女性に見えるように描かれています。早くまた、バルサに会いたい! そして、前作を読み返したい! と読み終わった今居ても立ってもいられなくなりました。