象は世界最大の昆虫である
- 作者: 池内紀
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2005/06/07
- メディア: 単行本
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池内紀氏の解説にすべてが書かれてしまっているので、書くことがないなあ。19世紀ドイツのギムナジウムで教鞭をとっていたガレッティ教授が教室でおかした失言の数々を、教授の死後、教え子たちがまとめて出版したもの。最初に出たのは元生徒たちの手作りの仮綴じ本だったとか。40作近い著作をものにして、それらは死後も参考図書にあげられるほどの博識だったはずなのに、その失言は実に愛すべきものなのだ。猛然とガレッティ教授の人柄に興味が湧いてくる。
失言なのでひとつひとつはどれも短い。これらをぽつりぽつりと拾っていくと、おそらく名物として先輩から耳打ちされていたであろう先生の失言をせっせとノートの端に書き留めていた悪童たちのいる教室風景が目に浮かぶようで、微笑ましくゆかいな気持ちになった。
596 なんと行儀作法が乱れていることでしょう! 教師が教室に入ったとたん、ミカンの皮を踏んづけて転ぶなんて、なんて悪さをするのです!
633 この三名は、いたずらに関しては抜群の研鑽をつんでいる。
ガレッティ先生にシンパシーを覚えているらしい池内紀氏の翻訳の妙もあって、200年近く前の本なのに、信じられないことに読んでいる間中げらげら笑いっぱなしだった。