グリムのような物語スノウホワイト

スノウホワイト グリムのような物語

スノウホワイト グリムのような物語

 諸星大二郎の叙情性が好きだ。狂ってるんだけど、何とも言えない切なさが残ったりする。ここに収録された作品で言うと「小ねずみと小鳥と焼きソーセージ」。小ねずみと焼きソーセージは妄想の中に生きたと言えるけど、そこで見た夢は友達への思いに満ちている。「コルベス様」や「とりかえっ子の話」のような暴力と破滅の物語にも常にどこか無常観が漂っているのもいい。解題がついていて、元のグリムの話も載っているという至れり尽くせりな構成は、さすが東京創元社だった。