風が強く吹いている

風が強く吹いている

風が強く吹いている

 直木賞のばかちん! またしても受賞作を見誤ったわねー。「まほろ」よりこっちの方がずーっと面白いじゃないの。「まほろ」で三浦しをんってこんなもんなんだと思われたとしたらすっごく癪だわ。
 しをんちゃんのユーモアセンスと真面目さが余すところなく発揮されて、「格闘するものに○」に匹敵するエンターテイメントにあふれた快作でした。「DIVE!!」のような直球の王道スポーツ青春小説で、赤面ものの青臭い台詞が目白押しなのに、ぐいぐい引き込まれて思わず涙ぐんでしまいます。
 六道大の藤岡さんがいい味出してます。走っている間の選手の独白も、それぞれキャラが立っていて、なかでもキングの告白は身につまされたと同時に安心もしました。こういう人って、やっぱり他にもいるんだな…と。

 題名に関しては、直木賞同時受賞の森絵都風に舞いあがるビニールシート」に似ていて、変えた方がよかったんじゃ、と思いもしましたが、早計でした。著者は、賞とは無関係のところで万感の思いを込めて題名を考えているのでした。反省します。