トンマッコルにようこそ

 「千と千尋」にでてくるモノノケみたいなモノがいるので見に行ってみました。それは妖怪ではありませんでしたが、映画自体が面白かった!
 とにかく笑える映画で、特にイノシシ狩りは必見です。スピード感とかアングルとか、登場人物のポーズとか、映画の表現もいろいろあって面白い。主役の一人、ピョ少尉が夢を見るシーンも、明彩を落として、足下から見上げる角度で、フラッシュバックをはさんで、静かなのに緊迫した空間でした。まるで避難民が少尉を踏みつけていくように見えました。

 戦争シーンの圧倒的な現実感と、トンマッコルの牧歌的でファンタスティックな雰囲気とが違和感なく解け合っています。お互いに支え合って映画そのものに説得力を持たせていました。
 戦争で死んでいく人間って、ただのモノに見えるんだなあ、と思いました。さっきまで一緒に笑いあっていた人が、血に汚れたぼろ布に包まれた肉塊に変わってしまう。尊厳もへったくれもあったものではないです。中盤の幸福な光景を見て、覚悟はしてたんですけどね。ここまで人の善意を誠実に描くなら、人の悪の際たる戦争も真っ向から描くだろうと。

 2時間半あったけれど、そして、もっと短くはできると思いましたが、長さは全く気になりませんでした。久々にイロモノではない映画を見たなー(笑)。次は「ユメ十夜」だ!