金春屋ゴメス芥子の花

芥子の花 (金春屋ゴメス)

　「金春屋ゴメス」第二弾。
　江戸の暮らしにも慣れた辰二郎だが、お守り役のいなくなった金春屋では、馬込播磨守寿々（まごめはりまのかみすず）が大荒れ。悲鳴を上げた子分たちの為に粟田のじいさまから派遣された第2のお目付役は、柔術の遣い手であるうら若い女性、三芳朱緒だった。

　同じく日本ファンタジーノベル大賞を受賞した「しゃばけ」同様、漫画の手法で小説を書くことに成功している作品だと思う。キャラクター設定とか、見栄の切り方とかからは、コマ割りやネームまで浮かんできそうだ。
　辰二郎と朱緒の淡い恋愛模様も入ってきて、シリーズものとして安定したスタートがきれそうな予感。前回、タイトルロールだったわりに出番の少なかったゴメスも、今回は多少働いているし。この人の過去もまだまだ引っ張っていますが、なんとか上手に着陸して欲しいです。
　ゴメスがあんまり活躍しないのは、怪力無双、頭脳明晰で権力のある人間を使うと、なんでもすぐに解決してしまって物語が動かなくなるからでしょう。このあたり、初期の茅田砂胡は上手だったんですが。