絵本は赤ちゃんから

絵本は赤ちゃんから―母子の読み合いがひらく世界

絵本は赤ちゃんから―母子の読み合いがひらく世界

 「事件は会議室で起きてんじゃない!」という青島刑事の叫びを思い出しました。
 著者が、6人の保護者に子どもとの読み合いの事情を聞いた記事をそのまま文章に起こしたインタビュー集です。
 著者は、自分の考えや先入観は脇に置いて、まず子どもと、子どもに絵本を読み聞かせている親を前に、無心に彼らの話を聞きます。アニメ・ゲーム・コンピューター・キャラクターグッズ・マンガ…従来の児童文化では、低俗なもの、子どもの成長を阻害するゆえに遠ざけるべきもの、とされている文化も、それらが現場でどのように受容され、子どもの成長にどのように影響を与えているかを、あくまで肯定的に受入れます。
 本や講義で聞きかじっただけのただの知識でなく、一人一人の「人間」と向き合ったところからしか、未来は語れないという、忘れがちなことがらを、思い出させてくれました。