画鬼・暁斎―KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル展 三菱一号館美術館 2015年6月27日(土)〜9月6日(日)
9歳で生首を写生したとか、狂斎と称したりとか、偏狭な性格というイメージでしたが、作品を見ると、いわゆる人格者というのではなかったかもしれませんが、人間味のある人柄の温かさが感じられました。
弟子であったコンドル英国人のコンドルとの交流もほほえましいものです。
また、舞をたしなんでいた暁斎は、同じく芸事が好きだった師匠の祖母から稽古代を出してもらっていたそうですが、彼女がなくなった時に、墓前で舞ったというエピソードからも、人柄がしのばれます。
こんな風に感じたのは、作品の中にほっとするような「可愛い」絵がいくつもあったからです。
毛並みがふわっふわ「うずくまる猿図」
しゃがみ込んで金魚鉢をのぞき込む子どもたちとその後ろで 逃げ出そうとしている亀がほほえましい「金魚と遊ぶ小童図」
精一杯背伸びをして虫取り網を伸ばす「布袋の蝉採り図」
毛の一本まで描き込まれて、撫でた時の手触りまで想像できる「眠り猫」
絵日記に押してあったハンコが、妖怪の絵でたいへん可愛いかったです、欲しい。
百鬼夜行図(真珠庵) 京都国立博物館平成知新館 2015年8月11日〜9月13日
NHK Eテレ「日曜美術館 あやし おどろし 妖怪絵巻」2015年8月2日放送
http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2015/0802/index.html
スタッフさんのブログによると、番組を機に展示されることになったとか。
百鬼夜行絵巻は、種類もたくさんあって、色々な展覧会で目にする機会がありますが、改めて真珠庵本を見ると、最古にして最高の「百鬼夜行図」でした。
もののけ達の姿かたちの奇想はもちろん、線の伸びやかさ、色の美しさが群を抜いています。これだけ美しいからこそ、後世に模倣作が数多く創作されたんだろうなあ。眼福!
ほかの展示室にあった狩野山雪「蘭亭曲水図屏風」という大作も見ごたえがありました。
蓮の葉に酒杯を乗せて流し、流れ来るまでに作詩できなければ、罰杯を飲むという催事を描いたもので、中の人たちがとても楽しそうでした。
マッドマックス〜怒りのデス・ロード 2015
アクションにも、スピードにも、車にも興味がない視聴者を、2時間飽きさせない作劇ってすごい技術だとおもいます。
どのくらい興味がないかというと、作中、V8なんて言ってたっけ? というくらい興味がないのに!
英語が苦手な私ですら字幕と照合できるほど、簡潔なセリフのみで、ストーリーが過不足なく理解できるんですよ。すごい。
導入にいたっては、一言のセリフもないのに、トカゲが双頭であることで地球が汚染されていることを、トカゲを踏みつぶしたマックスがいきなりムシャムシャ食べちゃうところで、世界が荒廃し、殺伐としていることが、わかる。
荒廃した世界ですが、死者の沼地は、不気味で幻想的だったし、「鉄馬の女たち」と「ワイブズ」が見上げた降るような星空は、神々しかった。
そして、登場する女性たちも、老若かかわらず、息をのむほど美しかったです。
男性陣も、敵味方双方とも、まっすぐで格好よかった。
最終的には、愛と人間賛歌の物語でした。
面白かった!